南無妙法蓮華経・・・

この日は御通夜があった。
午前中だけ時間に余裕があったので
図書委員へ預かり物を返すと同時に
学園祭の様子を垣間見ることができた。

図書委員へ寄った後、美術部へ行った。
Rinさんの作品や他の美術部員の作品を
見てきた。切り絵など、ちょっと斬新なものを
見れた気がして面白かった。

その次、地学部の様子を見た。
皆頑張っていた。私が何もしてないのが申し訳ない
気がした。

そしてコン部を少し覗き、その後すぐに
食券売り場の前のPRビデオを見に行った。
丁度地学部のPRをやっていた。
ロケットを避けるシーンが少しインパクトがあるらしかった。

そこで会った友達と話しているうちに滞在限界時間が
迫り、家に戻った。

会った友達には幾度も励ましてもらえて嬉しかった。

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昼食をとり、祖母の家へ向かった。
少しして葬儀屋の人が到着し、
なにやら2人がかりで「白-600」と書かれた
大きなダンボール箱を室内まで運んできた。

ダンボールが開かれると中から白く大きな
箱――棺が取り出された。

私は一瞬、中一の頃の記憶を回想した。
――あのとき見た棺と同じだ・・・

その後、親族全員で未だ布団に横たえられている
祖母の所へ行き、ドライアイスを取り除いた。
そして、顔にかぶせてあった白い布も取り払われ、
葬儀屋さんは白い布でできた装飾品のようなものを
つけはじめた。
まず左手には、手の甲を覆うように形作られた白い布を
かぶせ、一番近い親族、祖父がその布につけられた紐を
結んだ。右手にも同じように白い布がつけられ、
母の弟が紐を結んだ。
左の脛には細長い形の白い布がつけられ、母が紐を
結んだ。右の脛にも同様、白い布がつけられ、
父が紐を結んだ。
左足には白い布で作られた足袋がつけられ、
兄が紐を結んだ。
右足にも同じように足袋がつけられ、私が紐を結んだ。

祖母はその後、親族の手によって棺まで運ばれ、
静かに横たえられた。
足には草履のようなものが添えられ、
頭の横には小さな笠が添えられた。
眼鏡も、実際の火葬の際には取り除かれるが、
そのときは頭の横に添えられた。
白い衣装がかぶせられ、白い帯が巻かれた。
最後には全体に白い布を乗せ、頭だけ出ている状態で、
棺の蓋が乗せられた。
最後に棺の中の祖母の顔をしばらく見つめた。
病気で苦しんでいた時の顔とは違って、
優しい表情になっていた。

私はしばらくの間、中一の頃の記憶が脳裏に蘇った。
――それは、遺骨を移すときの風景・・・
まさか、、祖母を火に入れたりしないよね・・・
火葬されるとわかっていても絶対信じたくなかった。
恐る恐る母に今日の日程を聞いた。
今日は御通夜だから、大丈夫、だそうだ。
だが明日は・・・・・・。

棺――祖母を乗せた車の後につづいて私の一家も
車でついていく。
窓の外の景色を見ていたら、
何も考えないようにしていたつもりが、急に
涙で何も見えなくなった。
――私が泣くなんて珍しいのに・・・

日蓮宗の中で最もちゃんとしているといわれる所に
着いた。下り藤の提灯がかかっていた。

棺は運び込まれ、その周りにはすでに一面に花が
添えられていた。数々の家系の名札が花に挿してあり、
また、相当偉い方とも関わりがあるというので役所の
人の名札も掲げてあった。環境大臣や交通省の人
だったと思う・・・詳しくは覚えていない。

棺の上の段には祖母の写真が黒の額縁に入れられ、
立ててあった。とてもきれいな写真だった。

御線香をあげ、しばらく準備ができるまで待機し、
その後、お経読みが始まった。
案外ちゃんとした文章になっているものだが、
私にはよく意味がわからない部分が多かった。
全員が御焼香を終えた後、不意に
私はいろいろな過去の記憶を思い出し始め、
取り留めのない涙で顔を濡らしていた。

その後、全員で食事をしたが、
私の涙だけ止まらなくて困った。

食事をしながら他の親族の人とも話している間に、
少し気分が紛れてなんとか涙だけは止めることができた。
それでも親族の人が病気のことや、その前のこと、
祖母の趣味の話など始めるとまた涙が出た。

食事も最後のほうになってくるとようやく私は
落ち着き、少しずつ他の人は帰り始めた。
私の家は最後にこの場を離れ、祖父と一緒に
車で帰った。

――明日が・・・・・・来ないで欲しい

頼む、時間よ・・・。・・・止まれ
ばあば・・・起きて・・・
火に入れられるなど、私は到底耐えられない・・・
それだけは勘弁・・・・・・
中一の時と同じことが繰り返されるのか・・・

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これって結局私が日蓮宗を信じてないということに
なってしまうんでしょうか・・・。そうでなくても
私も、私の兄も無宗派な感じですししょうがないかな・・

一応、日蓮宗を信じている人ならば今日の儀式で
仏様は極楽浄土へ行っているとしているため、
遺体は火葬しても平気なんでしょうか・・

でもやはりどちらにしろ、遺体が遺骨だけに
なってしまうのは耐え難い苦痛ですよね。
もう過去の記憶と、写真と、少々の映像でしか
会えない・・・
そんな・・・

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