箱根のこと

すっかり書くタイミングを失ってしまっていた。

20日以上前のことである。予備校が始まる前に短期間旅行でも行きたいと母が急に発案した箱根旅行。旅行と呼ぶにはあまりに簡単だったような気もするが、いろいろとあってこのあたりが限界だっただろう。

登山鉄道に乗ったのは初めてではないような気がするが、そうだとしてもかなり久しぶりに乗った。山にありがちな急斜面、急カーブを登る列車は違和感があるように感じる反面いかにもそれらしいとも思う。景色はなかなか素晴らしかった。途中、スイッチバックという走法も行っていたのだが、これは初めて見た。なんでも、急勾配すぎて列車が登れなくなってしまうらしく、その地点で一時停車して車掌が交代し、逆走、そしてその逆走、と繰り返し三回ほど行うのである。なかなか面白いものだった。

ロープウェイに乗ると活火山みたいなものの上空を通りながら富士山を眺めることができた。何本かロープウェイを乗り継いでいると、湖を走行する豪華客船似の何かが見えた。

その客船に乗ってみるとなんと海賊船だった。

船室より上にあがってみると微動だにしない海賊のお頭がいた。爽快な風を切る船から周囲を見渡していると今回泊まることになっていたホテルらしきものも見えた。

泊まったホテルは山のホテルという名のホテルだった。

全体的に洋風の洒落たホテルのようだった。広間でピアノが弾かれているような音がしたので見に行ってみると鍵盤が勝手に動いて自動演奏していた。誰かの演奏のセーブのようである。

部屋はいたって普通だが窓から見える景色はとても良いものだった。庭も良くできている。

食事も大体洋風になっていた。あまり私は外食はしないが、それでもここの夕食はとても美味しい部類だと思った。朝食の方もこういうところでありがちなバイキング等ではなく、洋風コースの料理であった。

帰りはVSEの展望席に乗ってみた。

高級車に乗った感覚とでも言えばよいのか。煩わしい音はしないし、振動もない。ただ、景色は別に綺麗というわけでもない。当然ではあるが。

一つ驚いたのは、今回この展望席には初めて乗ったのだが、車掌が天井へと機械梯子で収納されていったことである。もし見逃したならば車掌が消えたように思えていたことだろう。

祖父は最近ではかなり体調を取り戻している。

精神状態がようやく元の状態に戻ってきたらしい。体力が戻るばかりか歩行速度も明らかにはやくなっているのだから驚いた。やはりそれだけ今まで辛かったのだろう。

時間が心痛を和らげつつあるようだ。

今回の旅行でも大して心配することはなかった。

ただ、それでも会話を交わすことは滅多にない。昔からそれほど会話をしていたわけでもないのだから当然かも知れないが、こんなことなら中学にあがった後の少し余裕のあった時期にでもこの家に良く訪れていれば良かったかも知れない。後の祭りではあるが。
—–

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。