オープンラボ詳細

忘れないうちに記録しておこう。これを読めば、その場にいなかった人もオープンラボに参加した気分になれるかも知れない。転科生の記録で構わなければ。

機械的に記せば08年08月08日となる日に、SITの情報工ではオープンラボと称して研究室公開イベントがあった。
今年初めて企画されたこのイベントの主催は杉本先生で、対象は1~3年の在学生だった。
他の研究室も含め3つの研究室合同のイベントとなっていた。
以下の3研究室が公開された。
五十嵐研…知能情報処理
榎津研…人間情報処理
杉本研…自然言語処理

情報工には他にもいろんな種類の研究室があるが、今回はその中でもこのように私の知りたかった人工知能系に特化したイベントとなっていて、頼んでもいないのに私のために開催されたかのような内容となっていた。

そのため私は多分参加者の中でも特に熱心だったと思う。
参加者は20人前後で、私と仲間を合わせた3人を除いては2年生はいなかった。他は3年生だった。
2年生の中では、本当にその研究室に興味がある人から単純に研究室の雰囲気に興味がある人までを含めて3人しかいなかったことになる。1年生は皆無だ。やむを得ず帰省した人やそもそも知らなかった人を除けばだが。

私は大学入学前からいくつか明確な研究目的を持っていた。
その上で新しいことを見いだせばその都度考慮するようにしていた。
このオープンラボでも、私の考えと研究室の内容を照らし合わせながら、興味深いところを探していった。

ただ、オープンラボと言っても研究内容を詳細に伝えるものではなく、結局のところ概論の授業より少し詳しく説明した上で実際の研究生の研究内容の紹介をするにとどまっていた。


まず五十嵐研では、ロボットによるサッカーの説明がメインになった。
人工知能の中でも実際の行動の科学の分野である。
テーマによく出てくるキーワードは強化学習で、特にその中のQ学習というもの。
先生が最初に強調したことの中には、この研究室では特に基礎研究をしっかり行うということもあった。
応用研究の中の一つにロボットによるサッカーがあり、これを実現するためにさらに細かい研究が必要になる。
そしてその中にはマルチエージェントシステムと呼ばれる、一度に複数のAIを実現するシステムと思われるキーワードがあった。
そのシステムにはUvAやHELIOSなどがあり、SITではどちらも採用したことがあるらしい。
それらのシステムは、既にマルチエージェントシステムの土台となるプログラムがパッケージ化されたもので、それに対してそのプログラムに様々な条件判断を加えていくことで独自のシステムを作るといった手法がとられるらしい。
UvAは割と単純なシステムで、かなり処理を追加しなければサッカーにならないらしい。一方でHELIOSは元から強力で、そのまま使った方が下手に手を加えるより強いシステムらしい。
勿論大学によっては、UvAやHELIOSなどを使わず全て0から独自でプログラムを書いているところもあり、有名大学ではよくそういったものを見かける。確か東大や早稲田といったところではそのようなシステムを使っているところがあり、強力なシステムだったと記憶している。
他にこの研究室の紹介で出てきた話にはヒューリスティクス、評価関数の話やODE、Open Dinamics Engine、所謂物理演算システムの話があった。
最終的にはそれらもロボット操作に応用していく流れとなっているように思えた。
以上、ここではロボット好きに向いている研究が行われていた。
私はと言えば、そこまでロボットサッカーには興味はなく、サッカーについては軽く頭の片隅に留めておいた程度のつもりである。
扱われるのが何故サッカーなのかと言えば、それが比較的簡単に動作部分を作れて論理的な処理に時間を割けるからだろうとは思うが、もし私がこの手の研究をするならどうせなら人の形をしたものを動かしたいと思う。


次に榎津研では、実に範囲の広い説明が行われたが、総括して言えば全体的にマルチメディア処理に特化していた。
特にこの研究室に独特の考え方は、人間にとって便利なものを作るためにまず人間自体を研究して得られた知見を活かすというものである。
人間がどのようにして物事を捉え、考え、行動を起こすかといった事に関してはそれを専門に扱う研究分野が存在し、既に有力視されている法則がいくつも存在する。

例えば人間が物語を読むとき、頭の中では常にその読んでいる物語をイメージとして再現する作業が行われていると考えられている。そのイメージという概念の捉え方の一つに状況モデルというものがあり、そのモデルは複数の状況フレームと呼ばれる単位で構成される。
実際にコンピュータにそのフレームを捉えてモデル化する処理をさせれば、コンピュータは物語を読んで人間のようにイメージできることになる。
これを応用して、捉えたイメージを元に文書整理をすることが可能になる。
具体的な例で言えば、膨大な文献の中から類似性の高い物をまとめたり、特定の人にとって利益のある情報を探し出したりすることができるようになる。

他にこの研究室の研究生の紹介で出てきたキーワードにはTVMLと呼ばれるXMLの一種による舞台の記述や出来事インデキシングモデル、助詞による格解析に基づいた形態素解析、係り受け解析、文章認識、画像処理による人物判定、音声処理による人物判定、映画文法に基づいた自動編集、アニメーションなどがあった。
データマイニングの分野や言語処理の分野などが被っているため、木村研や杉本研とは使う技術などに内容の被っているものもあった。
本来人間が見聞きし、思い出し、整理したり判断したりする情報を代わりにコンピュータが行うことで人間に処理しきれない部分を助けるといった応用分野が多い。
以上、ここでは人間の感覚や作業の肩代わりをする処理、情報の整理や再利用を考える研究が行われていた。
私の現在の研究分野も総じてこの手の情報処理、特に人間の動作に倣ったものとなるため、興味深い研究室の一つである。蛇足だが、ここでは先生は今は無い青木研のこともとりあげていた。画像や音声の解析処理で関連があったため、SITから無くなってしまったのは残念な話である。


最後に杉本研では、言語処理研究室と言うだけあって本当に言葉の処理に特化した研究が行われていた。
目指すのは人と機械が言葉で意思疎通できるようになることである。
文章情報の再利用、対話による処理実行、Web上の情報の整理などへの応用が考えられている。
ここでも形態素解析や係り受け解析、構文解析、意味解析などを行って文章の意味をとってそれに合わせた処理をする研究が行われていた。
前述の通り、木村研と榎津研に被るところがあるが、殊に言葉に特化している。
特にその言葉に対する意味付けやフレームへの分類、情報の整理には特化していて、機械的な情報処理に特化している印象を受けた。
榎津研の言語処理分野とかなり被るところがあるが、どちらかといえば榎津研は学問的、実験的、人間的で新しい方法を使おうとする印象があるのに対してこちらはどちらかといえば実践的、機械的で、製品化を考えているような印象を受けた。
榎津研ではマルチメディア情報の処理に関する研究が多い一方で、こちらでは事務処理を実現する研究が多いように感じた。
具体的な例を挙げれば、ユーザーが話す言葉を聞いて、ユーザーが何をしたいのかを把握し、それを代行する。
例えば暑中見舞い書きたいと喋るだけで文例を書いてくれたり、さらに内容を希望にそって変えてくれたりするシステムなどがある。
他にも、既存の膨大な量の文章から個人にとって有益な情報を探し出してくる処理などがある。
膨大な量の文章の一番身近な例はWebであり、Web上に各人から載せられた情報はバラバラに散在し、有益な情報を人間一人では容易に探しきれないのが実情である。
他にも探せばこのような例がいくつもあるらしい。
このように、文章処理に特化し、文章から意味を見いだす技術の研究がここでは行われていた。
私の元々関心があった分野も主に言語処理であり、この研究室は大変興味深い研究室の一つである。


以上がオープンラボで開かれていた3研究室の大まかな内容である。
私の研究分野に近い研究室として興味があるのはこのうちの2つと、その他に3つ程度ある。
2つというのはやはり榎津研と杉本研、そして他は木村研と古宮研、そして平川研である。
ただ、最後に挙げた平川研については研究生の研究例の一部は私が既に実現していると思われるものがあり、また私自身がネットワーク技術よりも人間的処理の側に偏っている部分が多いため、あまり有力ではない。
しかしWeb上の情報の処理に関しては、ここで研究されているような技術を使う場面もあるため、お世話になることはありそうだと考えている。
古宮研については研究の際に扱っているインターフェースそのものに興味があることと、この先生がLISPやPrologに詳しいことからこの先お世話になる可能性が高いと考えている。

学部生としての研究は大分先まで見えてきた。
問題は、私の扱いたい範囲がやはりこれらの研究室の大まかな方針ともあまり一致しない部分も少なくないことと、やはり学部生の間に扱える範囲を超えていると思えるところである。
やはり院への進学を希望し、そして他大の院をあたってみたいという方針でその先は固まってくると思われる。
そしてそこでの判断をあわせてさらにその先へ進学するかNTTの研究所のようなところを目指すか独立かを決めることになるだろうと思われる。
余計なことまで書いてしまったが、私の研究方面の考えの中にはこのようなものもあるという意味で記録しておく。


この8日にはさらに他の行動や研究もあったが、それらについてはまた後日。

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