精神制御

久しぶりに、とりとめのない話をしてみる。こういった適当な話は何の準備も要らないので、一番気楽だ。

近頃、精神制御が難しい。一度は試してうまくいった方法でも、次に試せばほとんど効果がないことがある。自分の力の8割くらいは精神制御に使っているのではないかと思う。
優秀な人になるためには、仕事に関する高い感性・知性か、高い精神制御能力のどちらかは必要だと思っているのだが、私にはそのどちらも足りない。他人との比較はあまり関係なく、自分が欲しいと思う水準にまるで届かない。これがないと、ある程度以上の探求において、必須スキル「自発的に探究を続ける能力(興味)」が妨げられてしまう。

精神制御が難しい状態といっても、感情が不安定になるとか他人に対する接し方が変わるといったようなものではない。高校くらいまではそういう事もあったような気がするが、あれから随分時は経ち、自分も多少は年をとり、周りも大人しかいないし、どんなに辛かろうと人間関係に影響を与えることは基本的に予想しにくい。だから見かけ上は精神不安定には見えない。

今の私が、精神制御を求めるのは、自分の行動力や効率を維持するためだ。

精神制御が必要なのは決まって何かに追われているときだ。今は、論文締切に追われている。単純だが、これ自体はどうしようもない。

私には人の心がわからない。どのくらいわからないのか、その度合いが他の人と違うのかはわからないが、とにかく人の心がわからない。そして、同程度に自分の心もわからない。どのくらいの精神負荷、つまりストレスを受けているのか、どのくらい気力が回復しているのかくらいは知りたいが、ほとんどわからない。私が他人と比べて精神制御に長けている方なのか、そうでないのかも全く分からない。ただ、放置していると突然体調変化に現れることがあるので、結構危険だと思う。

とはいえ、研究なり仕事なり、やろうとしていることをどのくらいのパフォーマンスで実行できているか、極端に効率が落ちていないかを確認することで、精神負荷を推測できることはある。私の場合、精神負荷がある程度を超えるまでは一度最高パフォーマンスに到達できればしばらく安定する。その間、精神負荷があるのかないのか全く分からない。そして、見えない精神負荷がある程度を超えると突然効率が落ちてしまう。そうなってしまうと、精神状態が回復するまで効率が落ちたままになってしまうが、回復にいつまでかかるかやはりわからない。最近は効率の高い状態にも低い状態にもよく切り替わってしまっている。

精神負荷が高い状態でも効率低下をある程度隠蔽することはできる。常に緊張感の必要な場所で作業を続けるとか、自分を強制的にタスクに縛り付ける工夫をすれば、見かけ上は作業を続けられる。ただし、この方法では閃きがなくなったままになってしまうために頭を使う作業の効率は上がらず、そういった作業の場合はうまくいかないことを強制的に続けることになり、精神負荷が高い状態のまま解決策も思いつけなくなっていき、次第に身動きがとれなくなってしまう。

ごく軽い精神負荷ならば、1日か2日程度作業の記憶を封印してよく眠ることで完全に回復できる。しかし精神負荷はそんな単純なものばかりではないように思う。本質的に難しすぎてすぐに解法が思いつかないものはもちろんだが、そうでないものでも、思い出しただけで「なんだこれ滅茶苦茶面倒くさい」と思ってしまう物事がちらほらあったりするものだ。そんな時、記憶を封印したつもりでも封印できなかったり、そもそも万全な状態で記憶を戻しても結構しんどいものだったりする。

精神負荷の解決策として、既に書いた休憩によるものは、本質的には解決しないものの、解決するための行動力の回復には効果的で、部分的な整理、デフラグのような効果がある。本質的な解決には、当然やることを片付けていく必要があるが、これは部屋の片づけに似ている。部屋の片づけでは積極的に捨てる必要があるが、タスクの場合は、やることをやり遂げても、やることを切り捨てても、捨てるのと大体同じ効果がある。もちろん、許されるなら、切り捨てる方が簡単だ。だから、どうにもならなくなった時の最終手段はやはり片端から捨てることになる。もちろんそれは損失を伴うので、できれば避けたい。

私はタスクの場合でも、部屋の片づけの場合でも、似たような戦略で行動する。いや、行動してしまう。部屋が綺麗なうちは、比較的軽い物事は見かけ次第すぐに片付け、それ以外の時間は最も重要な物事に全ての力を注ぐ。しかし、時間が経つにつれ、少しずつ取りこぼし、つまり、すぐに片付けるつもりが、そのままになってしまったものが溜まっていく。蓄積量が増えるにしたがって、新たな物事の取りこぼし確率も少しずつ上がっていく。それでも、蓄積量が一定量に到達するまでは、最も重要な物事にほぼ全ての力を注ぎ続ける。蓄積量が一定量に到達した場合、最も重要な物事が一瞬でも手を放せる状態ならば、一気に全ての蓄積を片付ける。それでもその時の作業量は最も重要な物事における一度の作業量に満たない。

恐らく神経が限りなく強ければ、物事の蓄積は部屋が完全に満たされるまで許容できてしまうだろう。私の心には多分その方面の強さはあまりない。この方面で強ければ、部屋(心)が広いのと同じように、多くの物事を抱えられる。

それで、何が言いたいかというと、私は最も重要な物事、つまりここでは直近の論文締切があまりに無理ゲーになってきて、自分のパフォーマンスを見ていても結構過負荷のように思えるので、他の細かい蓄積もあることを考えると、もう切り捨てを視野に入れるべきかと思い始めているのである。しかし実は教授の感覚としては、「まだいける」という、あくまで最後まで可能性を見捨てない状況だったりする。上の例え話で言うなら部屋が広いなどというものではなく、空間の次元数が違うレベルではないかと思える。(変な表現になってしまったが、個人的には敬意を抱いている。)もちろん、直近の締切に間に合わせたいと誰よりも私が思うのだが……。

ところで、部屋を広げるのは簡単ではない。精神を強くしようと言ってすぐに強くできるようなものではない。その代わりに私がこれまで工夫してきたのは、本質的でない解決策、つまり休憩の方だった。そもそも本質的な解決がしたくても、精神負荷によってそれ自体ができなくなるのだから、本質的でない方は必要だ。

脳の話で、確か、線条体が機能低下していると、あらゆることの行動力を下げてしまうというのがある。もし本当に線条体がやられていたら、趣味に対してもやる気が出なくなってしまうのだが、少なくとも若いうちはそれはまずないだろう。
それで、タスクに関して効率が落ちていても、趣味に関してはまだ気力が出せることはよくある。だから趣味に完全に集中することで、タスクに関する記憶を一時的に封印することができる。質の高い休憩ができれば、心の整理も大規模にできることがあるし、休憩にかける時間も短くできる。可能なら、幸福感を与える趣味や、気力を刺激する趣味があると理想的なのだろう。

質の高い休憩には色々あるが、何にせよ、趣味の種類が少ないと質の高い休憩を安定してとることが難しくなる。趣味とはいえ同じことをしていてはすぐに飽きてしまう。特に私は同じことをするのを極端に嫌う性格だ。趣味を増やすためにも、身近な人に、どんな趣味を持っているか聞くことには結構意味があると思う。皆はどんな趣味を持っているだろうか。

今のところ、次の方法で気力回復の効果があることがわかっている。

・ 音楽鑑賞 (中程度の効果があり、タスク実行中にもできるので極度の集中が必要でなければタスクと同時にやることが多い。効果の大きな曲を聴くと稀に脳が作曲モードに切り替わることがある。)

・ 作曲 (中程度の効果があるが、脳の動作モードを感性主体のものに大きく変えてしまうので、「今日はタスクの方はもうだめだ」となることがある)

・ 映画・アニメ鑑賞 (当たり外れが大きく、効果が保証できないが、当たると極めて大きな効果がある。消費時間が予測できる利点もある。ただし一度見たものは二度以上見てももう効果がない。)

・ 卓球・ジャグリングなど運動系 (中程度の効果があるが、体を疲れさせてしまうので、それを支える精神力が後に必要になることがある)

・ 趣味のプログラミングや3DCGやハックなど (中程度の効果があるが、そもそもコーディングできる気力があればタスクの一部はこなせることが多い)

・ 電子工作 (中程度の効果があるが、時間がそれなりに必要になる上、やはりここまでできる気力があればタスクの一部はこなせることが多い)

・ 買い物やニュースサイトのチェック (効果は小さいが安定している)

・ ブログを書く (効果は小さいが、心が整理されやすい状態になることがある)

・ おいしいものを食べる (久しぶりに食べたおいしいものが与える効果は大きいが一週間以内に同じものを食べると効果が半減する)

・ コーヒー (回復という意味では効果は小さいが安定している。適量摂取で落ち着かせたり集中力を引き上げやすくしたり覚醒したりする効果があるので、回復時よりむしろタスク実行中に使う。)

・ ゲーム (私の場合、仮想世界から帰ってこれなくなるので基本的には選択肢にない。単純なものですぐ切り上げられるものは時々やるが効果が小さい。)

・ カラオケ (中程度の効果がある。研究室に伝説の歌姫がいるようなので、いつか皆で行ってみたい。)

もしかしたら心の支えになる人がいれば良いのかもしれないが、それはできれば近いうちに何とかなったらいいなあ……。

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5 Responses

  1. sh より:

    瞑想、いいですよ。マインドフルネス。Googleでもやられてますね。

    • Mulgray より:

      確かに気が滅入っているとき、かなり効果的かもしれませんね。ありがとうございます!

  2. 匿名 より:

    久しぶりにhylos来てみた。
    最近、似たような事考えるね。

  3. m3ak より:

    名前忘れた。

    • Mulgray より:

      返信遅くなってすみません…。こちらではお久しぶりですね。
      最近知ったのですが、精神回復できる物事を列挙する方法、コーピングという名前がついていました。
      実際に効果のある方法として認知されているみたいですね。

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