とても日差しの強い日だった。
見渡す限り広がる空、その中に寂しげに浮かぶ低い雲は、少し頑張れば手が届きそうなほど近くに見えた。
普通、こういった表現は星空に使うのだろうが、このときの雲は本当に近くに感じられた。
前日が父の誕生日だった。
私と母はお墓参りに来ていた。
「――鶏頭がこんなところに。飛んできたんだね。」
園芸好きだった父の墓石のすぐ脇に、真っ赤な花が咲いていた。
茎は指と同じくらいの太さはあり、天に向かって真っ直ぐに伸びていた。
日差しがとても強かった。
二人で墓石に水をかけた。
母が手を合わせたのを見て、自分も手を合わせた。
母は目をつぶって祈っている様子だったが、私は墓石をじっと見つめたまま、目を閉じられずに、手だけは同じように合わせた。
きっと乗り越えてみせると、そう胸を張って誓いたいのに、真っ直ぐな気持ちで誓うことが出来なかった。
私は、胸の内を、そのままに偽りなく辿った。
――私には自分が良くわからない
安心して、私に任せてください、と、本当は言いたい――
――本当に色々と、申し訳がない
生きていれば、本気で叱り飛ばしてくれただろう――
――どうしてこんなにも無念な終わりかただったんだろう
我々の自分勝手をどれほど残酷に思うだろう――
――私はどうすればいいのだろう
私は自分で決着を付けるべきことさえぼんやりと見過ごしている――
――どうすればあなたのようになれるんですか
それを自分で悩み乗り越えるからこそなれるというのに――
――全部、大体わかるような気がします
でも全くわからないんです、何故動かないのか――
――ずっと昔から、悲しいほどに動かないのは何故
それでも見守ってくれますか――
……
…………
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