/* 前回までのあらすじ
金曜は1限の化学しかとっていないため、無駄な登校とならないよう、なるべく遅刻しないように学校へ向かった。結果5分程度の遅刻で済んだ。
このとき先生はまだいなかった。三郎が教室内で壮絶な狩りをしていた。
「この敵絶対倒してやる!!」
先生はその後かなり経っても来なかった。
狩りから数十分後、気がつくと三郎は既に巨大な恐竜みたいなものを倒して新鮮な肉をはぎ取っていた。そしてそれを高級な調理器具にかけて焼いていた。
「タイミングが重要なんだよ。ほら上手に焼けました。ほんとはウルトラ上手に焼ける筈なんだけど」
授業終了13分前になって漸く先生が現れた。
「いや、出発しようとして大家さんに声かけようとしたら血まみれで倒れててさ、流石に見過ごして学校行くわけにもいかなくて病院まで運んでいったのはいいんだけど今度は俺の服が血まみれになっちまって…。もう全然時間残ってないけどざっと説明していくよ」
大家さんは食中毒で吐きそうになって転んで体を打って血を流して気絶していたらしい。
その後10分の授業を受けて私は帰ったのだった。
END OF 前回までのあらすじ */
今日は、化学の授業中に、教室の隅にあった救命具箱のようなものの上にあるものにふと目がとまった。普段そんなところを気にすることも無かったのだが、今回妙な考えが浮かんだためだ。
そう、そこにあったのは数週間血眼になって探していた化学のノートだった…!
もっと早く気付くべきだった。回収されていないということはまだ教室に残ってる確率が高かった。私は机の中こそ調べたものの、それ以外は調べていなかった。
私は授業後にそのノートを即回収した。そして側にあった教科書も回収しようと思った。
しかし教科書の方は自分のものではなかった。誰かの忘れものが同じく漂流してきたものであるらしい。
「よぉ」
傍を、英会話で知り合った友人が通りかかった。
彼は大学に入る前に、塾でうちの今の弓道部主将から教わったことがあると言っていた人だ。
「ああそれ俺と同じ現象だ。化学をここで置き忘れるとすぐに戻ってきてももうないんだ。
それ持ってっちゃいなよ…!俺が見逃してやるよ!!!1」
つまり本当の私の教科書はもう誰かの所有物になってしまったのだ。
斯くして、私は化学一式を取り戻した。若干罪悪感が残った。
4号館を出た後は図書館へ向かい、通常の3倍以上借りていたC言語の本を漸く返却した。
そして、長期貸出期間という言葉に惹かれてWeb技術の本とコード進行の本と人工知能の本を借りた。
/* 水曜の話
回路理論で出された演習問題の解答及び中間試験の解答を三郎が要求したとき先生は確かに渡してくれると答えた。
しかしついに期末直前になっても渡してくれる気配が無いために私も尋ねてみた。
「ああ、それについてはちゃんと渡しますよ。…試験後に。」
平然と答えられてしまった。これは罠に違いないと思った。
その後三郎と今後の計画について話した。
「君はきっとANDになる。俺がGizmoになるから、farbrauschになろうじゃないか!そうだな、N&Yとかどうだ。そろそろデジクリにも敵が必要だろう。やるなら今しかない…!」
END OF 水曜の話 */
/* 月曜の話
Y先輩との遭遇率が何故か高い。このエンカウント率は異常。
そして私の首を腕で締めてくる確率も非常に高い。
「これからあるのは認知工学です。前期でとれた授業の中で…唯一やりたかった科目ですね。この1科目のために学校に来ているようなものです。人間に関わる科学が結構占めているんですよ。人工知能とか脳科学とか。そして認知の視点からのデザイン工学も含まれる。」
END OF 月曜の話 */
人工知能関連の書籍をあさっていたら認知科学と相当な関連があることがわかった。
むしろどちらかを勉強することは他方を勉強することでもあったようだ。私はこの点では道を誤っていなかった。
しかしもうすこしこの分野を細分化していくと、実は私には飲み込み辛い分野もある。
私は本当は自然言語解析に興味があったようだ。
実は認知工学の先生は情報工の先生であり、自然言語解析を研究していたりもする。
今後ももしかしたら縁があるのかも知れない。
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